※本ブログの情報は、特定の金融商品への勧誘を目的としたものではありません。投資の最終判断は自己責任で行ってください。
2026年2月9日、中国当局が国内の大手銀行に対して米国債の保有を抑制するよう求めたとブルームバーグが報じました。この報道も材料の一つとなり、ドル円は一時155円台半ばまで円高が進行しました。
今回は「中国の米国債離れ」が何を意味するのか、S&P500やオルカンに積み立てている個人投資家にどんな影響があるのかを整理していきます。
そもそも何が起きたのか?
2月9日にブルームバーグが報じた内容をざっくりまとめると、以下のとおりです。
- 中国の規制当局が、国内の一部大手銀行に対して米国債の購入を控えるよう口頭で求めた
- 保有比率が高い銀行にはポジションを縮小するよう要請した
- ただし、中国政府が保有する米国債は対象外であり、大量売却を示唆するものではない
つまり、「中国が米国債を投げ売りする」という話ではなく、国内銀行のリスク管理の一環という意味合いが強いということです。
実際、報道直後の米国債市場ではパニック的な売りは発生しておらず、市場は比較的落ち着いた反応でした。ただ、為替市場ではドル売り・円買いが進み、ドル円は155円台半ばまで円高が進行しています。
参考:中国当局が銀行に米国債保有の抑制を指導(野村総合研究所)
なぜ中国は米国債を減らしているのか
実はこの動きは今に始まったことではありません。中国はかつて米国債の最大の保有国でしたが、米財務省のTIC統計(主要保有国データ)によると、2013年11月のピーク時(約1.32兆ドル)から保有額を徐々に半減させてきました(米財務省TIC)。
背景にあるのは主に以下の3つです。
①米中関係の悪化
トランプ政権による関税政策や半導体の輸出規制など、米中の対立が長期化しています。中国としては米国への依存度を下げたいという意図があります。
②外貨準備の分散
中国は金(ゴールド)の購入を積極的に増やしており、米ドル資産への一極集中を避ける方向に動いています。
③米国債の価格変動リスク
米国の金利が高止まりしている中で、米国債の価格は不安定になりやすい状況です。銀行に対して保有を抑制するよう求めるのは、リスク管理として合理的な判断とも言えます。
つまり、今回の報道は「突然の方針転換」ではなく、数年かけて進んできた流れの延長線上にあるということです。
S&P500やオルカンへの影響は?
ここが一番気になるところだと思います。結論から言うと、短期的には円高による評価額の目減りが起きる可能性がありますが、長期的に致命的な影響を与えるものではないと考えています。
円高による影響
今回の報道が伝わる中で、ドル円は155円台まで円高が進みました。S&P500やオルカンのような外貨建て資産は、円高が進むと円換算の評価額が下がります。
例えば、ドル円が160円→155円に動いた場合、それだけで円換算の評価額は約3.1%(約3%強)目減りします。直近で含み益が減ったと感じている方は、この為替の影響が大きいかもしれません。
米国株そのものへの影響
中国の米国債売却が大規模に進めば、米国の長期金利が上昇し、株式市場にはネガティブに働きます。しかし、前述のとおり今回は政府保有分は対象外で、パニック的な売りも発生していません。
現時点では「米国株が暴落する」ような事態にはなっていないのが実情です。もちろん、今後政府保有分にまで踏み込む動きや、米中間の資本規制の強化といったエスカレーションがあれば話は変わりますので、引き続きニュースをチェックしておくことは大切です。
個人投資家が今やるべきこと3つ
①積み立ては止めない
これは何度でも言いたいことですが、長期の積み立て投資において「ニュースを見て売る」は最悪の行動の一つです。
円高で評価額が下がっているということは、同じ積立金額でより多くの口数を買えているということでもあります。むしろ、長期投資家にとっては円高局面での積み立ては有利に働きます。
②自分のポートフォリオを点検する
とはいえ、為替・地域分散の観点では、米国株100%のポートフォリオはリスクが偏りやすいのも一般的に指摘されるところです。
日経新聞の報道(強まる分散投資傾向、米国株投信4割減※有料記事)でも、若い投資家の間で一極集中のリスクを意識する動きが広がっていることが取り上げられています。
S&P500をメインに積み立てている方は、以下のような分散も検討してみてください。
- オルカン(全世界株式)で地域を分散する
- 国内高配当株で円資産の比率を高める(ただし資産クラスとしては株式のままなので、株式リスクは残る点に注意)
- 債券ファンドやMMFで資産クラスを分散する
私自身も米国株インデックスを中心に積み立てていますが、国内高配当株や米国高配当ETFも保有しており、ある程度の分散は意識しています。
分散投資の考え方については以前の記事でも触れていますので、あわせてご覧ください。
→ NYダウが史上初の5万ドル突破!背景と個人投資家が押さえておくべきポイントを解説
③為替リスクを改めて認識する
円安局面では外貨建て資産が勝手に増えてくれるのでつい忘れがちですが、為替は逆にも動きます。
2025年後半は1ドル=150円台〜157円台で推移していましたが、国際政治・金融政策をめぐるニュース一つで数円単位で動くこともあります。含み益の一部は「為替益」であって「株の値上がり益」ではないということを意識しておくと、急な円高局面でも冷静でいられます。
まとめ
- 中国当局が国内銀行に米国債の保有抑制を求めたが、政府保有分は対象外で、大量売却の話ではない
- ドル円が155円台まで円高が進み、外貨建て資産の円換算評価額には下押し圧力
- 米国株そのものが暴落するような事態にはなっていない
- 積み立て投資は止めず、ポートフォリオの点検と為替リスクの再認識が大切
今回のニュースは、米国一極集中のリスクを改めて考える良いきっかけだと思います。だからといって急に全部売ってポートフォリオを組み替える必要はありませんが、「自分の資産がどれだけ米国とドルに依存しているか」を一度振り返ってみるのはおすすめです。
私自身は引き続き淡々と積み立てを続けていきます。こういうときに慌てず続けられるかどうかが、長期投資の成否を分けるポイントだと思っています。

