※本ブログの情報は、特定の金融商品への勧誘を目的としたものではありません。投資の最終判断は自己責任で行ってください。
はじめに
2025年6月に成立した「年金制度改正法」により、2026年12月にiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度が大きく改正されます。
新NISAが話題の中心になりがちですが、実はiDeCoも着実に使いやすくなっています。今回は、2026年のiDeCo改正について、個人投資家として知っておくべきポイントを整理していきます。
iDeCoとは
まずiDeCoの基本をおさらいしておきましょう。
iDeCo(イデコ)は自分で掛金を拠出して運用し、60歳以降に受け取る私的年金制度です。詳しい制度概要はiDeCo公式サイトで確認できます。正式名称は「個人型確定拠出年金」といいます。
iDeCoには主に3つの税制メリットがあります。
1つ目は、掛金が全額所得控除になること。 毎月の掛金が課税所得から差し引かれるため、所得税・住民税が軽減されます。例えば、所得税率20%の人が毎月2万円の掛金を払った場合、住民税(10%)と合わせて年間約7.2万円の節税効果があります。
2つ目は、運用益が非課税になること。 通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは運用中の利益に課税されません。これはNISAと同じメリットです。
3つ目は、受取時に税制優遇があること。 一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されます。
一方で、原則60歳まで引き出せないという制約があるのがNISAとの大きな違いです。流動性は低いですが、その分「老後資金を確実に貯める」という目的には向いている制度と言えます。
2026年12月からの主な改正ポイント
それでは、2026年12月に施行される主な改正内容を見ていきましょう。なお、掛金上限の引き上げなどは2027年1月の拠出分から適用されます。
加入可能年齢が70歳未満に延長
現在iDeCoに加入できる年齢は、自営業者などは原則60歳未満(国民年金に任意加入していれば65歳未満)、会社員・公務員は65歳未満となっています。
改正後は、一定の要件を満たす場合、加入可能年齢が70歳未満まで引き上げられます。
なお、70歳未満まで拠出できるかどうかは要件があります(例:老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない等)。該当可否は加入区分や企業年金の状況によっても変わるため、詳細は加入先の金融機関や勤務先の制度案内で確認しましょう。
人生100年時代と言われる中、60代後半まで働く人が増えています。定年後も再雇用で働きながらiDeCoに拠出し続けることで、所得控除のメリットを最大限に活かせる期間が延びることになります。
これまで「もう60歳だからiDeCoは意味がない」と思っていた方も、再検討の価値がありそうです。
掛金上限が大幅に引き上げ
掛金の上限額も大きく変わります。
| 加入者区分 | 現行(2026年1月時点) | 改正後(2027年1月〜) |
|---|---|---|
| 自営業者など※1 | 月6.8万円 | 月7.5万円 |
| 企業年金なしの会社員 | 月2.3万円 | 月6.2万円 |
| 企業年金ありの会社員※2 | 月2万円 | 月6.2万円−企業年金の掛金相当額等 |
| 公務員 | 月2万円 | 月6.2万円 |
※1 自営業者などの上限は、国民年金基金または国民年金付加保険料との合算額です ※2 企業年金ありの会社員は、企業型DCやDB(確定給付企業年金)など制度により控除計算が異なります
特に注目すべきは、企業年金のない会社員の上限が月2.3万円から月6.2万円へと約2.7倍に引き上げられる点です。
年間で見ると、これまで最大27.6万円だった拠出額が最大74.4万円まで増やせることになります。所得控除による節税効果も大幅にアップするため、iDeCoの活用価値が一気に高まります。
また、これまで複雑だった会社員の掛金上限が「月6.2万円から企業年金の掛金相当額等を引いた額」に一本化され、わかりやすくなるのもポイントです。
2026年4月の改正内容も押さえておこう
iDeCoに関連して、2026年4月にも重要な改正があります。
マッチング拠出の制限撤廃
企業型DC(企業型確定拠出年金)を導入している会社で働いている方向けの改正です。
これまで、従業員が自分で上乗せ拠出できる「マッチング拠出」には「会社の掛金を超えてはならない」という制限がありました。例えば、会社の掛金が月5,000円なら、自分で追加できるのも5,000円までという縛りです。
2026年4月からはこの制限が撤廃され、制度上の上限(現行は月5.5万円、2027年1月以降は月6.2万円)の範囲内で、より多くの掛金を拠出できるようになります。
会社の企業型DCの掛金が少ない方にとっては、iDeCoと併用するか、マッチング拠出を増やすか、選択肢が広がることになります。
在職老齢年金の基準緩和
働きながら年金を受け取る際、一定以上の収入があると年金が減額される「在職老齢年金」の基準も緩和されます。賃金と年金の合計額に対する減額基準が月額51万円から62万円に引き上げられるため、シニア層がより働きやすくなります。
改正後のiDeCoはどう活用すべきか
2026年の改正を踏まえて、iDeCoをどう活用すべきか考えてみましょう。
会社員は上限枠の拡大をフル活用
企業年金のない会社員の方は、改正後の月6.2万円を最大限活用することで節税効果を大きく高められます。
例えば、所得税率20%・住民税10%の人が月6.2万円を拠出した場合、年間で約22万円の節税になります。これは投資で22万円のリターンを得るのと同等の効果があるわけで、非常に大きいです。
もちろん、生活費とのバランスを考えて無理のない範囲で拠出することが大切ですが、余裕のある方は枠の拡大をしっかり活かしたいところです。
60代でも「積立の継続」という選択肢
これまで60歳や65歳で積立を終了していた方も、要件を満たせば70歳まで拠出を続けられるようになります。
再雇用などで60代後半も働く予定がある方は、「取り崩し」ではなく「積立の継続」という選択肢が生まれます。所得がある限り所得控除のメリットを受けられるので、60代後半を「最後の資産積立期」と捉えて活用することも検討してみてください。
注意点:退職所得控除のルール変更
一方で、注意すべき改正もあります。
これまで一部の会社員は、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取ることで退職所得控除を「2回フル活用」できていました。
しかし、この仕組みが「一部の人だけが得をする抜け穴」として問題視され、2025年度の税制改正で見直されました。
2026年1月からiDeCo一時金と退職金を近い時期に受け取ると、後に受け取る側の退職所得控除が調整(減額)されやすくなりました。目安として、従来の「5年ルール」が「10年ルール」に拡大され、2回のフル活用が難しくなっています。
iDeCoと退職金の受け取りタイミングは、今後より慎重に検討する必要があります。
NISAとiDeCoの使い分け
最後に、NISAとiDeCoの使い分けについて整理しておきます。
| NISA | iDeCo | |
|---|---|---|
| 所得控除 | なし | あり |
| 運用益非課税 | あり | あり |
| 引き出し | いつでも可能 | 原則60歳まで不可 |
| 受取時の課税 | なし | 退職所得控除・公的年金等控除適用 |
NISAは流動性重視、iDeCoは節税重視と考えるとわかりやすいです。
私の考えとしては、まずはNISAで無理のない範囲で積立を行い、余裕があればiDeCoも併用するのがバランスの良い使い方だと思っています。特に所得税率が高い方(年収が高い方)ほど、iDeCoの節税メリットは大きくなります。
おわりに
2026年12月のiDeCo改正は、個人の資産形成にとって非常に大きなアップデートです。
加入可能年齢の70歳への延長、そして掛金上限の大幅引き上げにより、より多くの人が、より長く、より多くの金額をiDeCoで運用できるようになります。
一方で、退職所得控除のルール変更など出口戦略も含めて考える必要があります。制度をしっかり理解した上で、自分のライフプランに合った活用方法を検討してみてください。
私自身は現在iDeCoを利用しておらず、流動性の制約があるためNISAでのインデックス積立をメインに資産形成を進めています。ただ、今回の改正で掛金上限が大幅に引き上げられることもあり、iDeCoの活用も検討してみようかなと思っているところです。引き続き制度の動向もウォッチしながら、コツコツ積み立てていきましょう!

