2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除し、同年7月には0.25%、2025年1月には0.5%と、立て続けに政策金利が引き上げられました。ニュースを見て「利上げ=投資にマイナス」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。
ただ、結論から言うと、インデックス投資家がやるべきことは基本的にこれまでと変わりません。大事なのは感情に流されず、自分のルールに従って淡々と続けることです。
今回は利上げ局面でインデックス投資家が「やるべきこと」と「やらなくていいこと」を整理していきます。
※本ブログの情報は、特定の金融商品への勧誘を目的としたものではありません。投資の最終判断は自己責任で行ってください。
そもそも利上げが投資に与える影響とは?
まず「利上げって何が起きるの?」というところから簡単に整理しておきます。
利上げとは、中央銀行(日本の場合は日銀)が政策金利を引き上げることです。金利が上がると、ざっくり以下のような連鎖が起こります。
- 企業の借入コストが上がる → 設備投資が鈍化しやすくなる
- 債券の利回りが上昇 → 既存の債券価格は下落する
- 円高が進みやすくなる → 外国株の円換算評価額が下がる可能性がある
- 預金金利が上がる → 現金・預金の魅力が相対的に増す
こう見ると「株にとってはネガティブじゃないか」と感じるかもしれません。実際、短期的にはそのとおりです。ただし、利上げは経済が回復・成長しているからこそ行われるものです。長期で見れば、経済成長が続く限り株式市場は成長を続けてきました。
つまり、利上げ=株が終わりではないということは押さえておきたいポイントですね。
積立は基本的に継続する
これは何度でも言いたいことですが、積立投資をしている人はそのまま続けるのが最善策です。
インデックス投資の最大の武器は時間分散です。価格が下がる局面では、同じ金額でより多くの口数を買えます。利上げで一時的に株価が下がったとしても、それは将来のリターンの種をまいている期間だとも言えます。
「頭では分かっているけど、含み益が減っていくのを見るのがつらい…」という気持ちはよく分かります。その場合は、以下のような工夫をしてみてください。
- 積立金額は維持しつつ、頻度を月1回→隔週に変えてみる(小刻みに買う方が心理的に楽な場合がある)
- 「相場が○%下がったら追加投資する」と事前にルールを決めておく
- 証券口座の残高を見る頻度を減らす(意外と効果的です)
私自身も毎月の積立額を変えるつもりはなく、利上げだからといって特別なことはしていません。淡々と続けるのが一番だと思っています。
配分の見直しポイント
積立を続けることが前提ですが、利上げ局面ならではの「点検ポイント」はいくつかあります。ここでは3つに絞って整理します。
①アセットアロケーションの再確認
利上げは長期の前提条件を変える可能性があります。ただし、自分のリスク許容度や運用期間が変わっていないなら、基本配分は維持が原則です。
「利上げだから株の比率を下げよう」と慌てて動くのは、結果的にタイミング投資になってしまいます。配分を変えるのは「人生のステージが変わったとき(転職、結婚、住宅購入など)」が基本だと考えています。
②債券ファンドを持っている人はデュレーションを確認
債券ETFやファンドを保有している方は要チェックです。金利が上がると債券価格は下落しますが、その影響の大きさはデュレーション(金利感応度)によって異なります。
長期債ほど金利上昇の影響を受けやすいので、気になる方は短期債へのシフトや、一時的に現金で待機することも選択肢の一つです。「債券=安全」というイメージがありますが、金利上昇局面では価格変動リスクがあることは覚えておきましょう。
③為替リスクをどう考えるか
日銀の利上げが続くと、日米金利差が縮小して円高が進みやすくなります。S&P500やオルカンなどの外国株インデックスを円換算で保有している場合、円高になると評価額が目減りします。
ただし、為替ヘッジにはコストがかかりますし、為替の短期予測は専門家でも非常に難しいです。長期投資家は「ヘッジなし」で持ち続けるのが基本的な考え方だと思います。含み益の一部が為替益であることを認識しておけば、急な円高でも冷静でいられるはずです。
為替リスクの考え方については、中国の「米国債離れ」でS&P500やオルカンはどうなる?の記事でも詳しく触れていますので、あわせてご覧ください。
リバランスの考え方
リバランスとは、運用しているうちにズレてきた資産配分を、目標の比率に戻す作業です。「なんとなく」ではなく、ルールを決めてから動くことが大事です。
具体的なルールとしては、以下のようなものがあります。
- 資産比率が目標から±5〜10%を超えたら調整すると決めておく。これだけで感情的な売買を防げます。
- 年1〜2回の定期見直しを基本に、急変時はルールに従って小刻みに対応する方が精神的にも楽です。
- 「基準価格から▲5%で少し追加、▲10%でさらに追加」とルール化すると、下落時に計画的に行動できます。
リバランスのコツは「感情を排除すること」です。ルールさえ決めておけば、利上げだろうが暴落だろうが、やることは同じです。
避けるべき行動
利上げ局面でやりがちだけど、避けた方がいい行動も整理しておきます。
- 市場の急落を見て一斉に売ること。タイミングを当てるのはプロでも困難です。売った後にいつ買い戻すかの判断もまた難しく、結局「高く売って安く買う」の逆をやってしまうことが多いです。
- 為替を当てに行って積立を大きく変えること。「円高になりそうだから積立を止める」のは典型的な失敗パターンです。為替の方向は誰にも読めません。
- 他人の成功例を見て短期間で配分を大きく変えること。SNSで「利上げ前に売り抜けた」という投稿を見ると焦りますが、それは生存者バイアスです。同じことをやって失敗した人は投稿しません。
これらはいずれもインデックス投資の利点(低コスト・分散・複利)を損ねるリスクがあります。短期の動きに反応しないことが、長期投資家にとって最大の武器です。
短期チェックリスト
最後に、利上げ局面で一度やっておくといいチェック項目をまとめておきます。
- 今の積立額・頻度が今後も無理なく続けられるかを確認する
- 保有しているインデックスファンドの「信託報酬」「デュレーション(債券ファンドの場合)」「為替ヘッジの有無」をざっくり把握する
- 現金は生活防衛費(生活費6ヶ月分が目安)を確保した上で、余剰資金の範囲内で投資しているか確認する
- リバランスのルールを決めていなければ、この機会に決めておく
どれも5〜10分でできることばかりなので、週末にでもサクッとやってみてください。
参考リンク
まとめ
- 利上げ局面でも積立投資は基本的にそのまま継続するのが最善策
- 債券ファンドのデュレーションや為替リスクは一度点検しておくと安心
- リバランスは「ルールを決めてから動く」が鉄則
- 急落時の狼狽売り、為替予測での積立停止、他人の成功例への追随は避ける
- 利上げは長期の設計を再確認する良い機会と捉える
利上げは「インデックス投資の終わり」ではなく、むしろ長期の設計を再確認する良い機会です。大事なのは「何を変えるか」「何を変えないか」を事前にルール化しておくことだと思います。
日銀が利上げを進める局面は、正直なところ「とにかく不安」という気持ちに流されやすい時期です。でも振り返ると、そういうときに淡々と続けてきた人が長期的には報われてきました。私自身も毎月の積立を変えるつもりはなく、引き続きコツコツ続けていく方針です。
「なんか難しそう…」と感じた方は、積立を止めなければそれだけで十分です!これからも感情に流されず、淡々と積み立てていきましょう!

