日銀ETF売却が開始!個人投資家が押さえるべきポイントと今後の影響

経済

※本ブログの情報は、特定の金融商品への勧誘を目的としたものではありません。投資の最終判断は自己責任で行ってください。

2026年1月16日、日本銀行は保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の売却を1月19日から開始すると発表しました。

「異次元緩和」の象徴ともいえるETF買い入れがついに出口を迎えます。今回は、この歴史的な転換点について、個人投資家として押さえておきたいポイントを整理していきます。

そもそも日銀のETF買い入れとは?

日銀がETFの買い入れを始めたのは2010年12月のこと。デフレ脱却と株式市場の安定化を目的に、日経平均連動型やTOPIX連動型のETFを購入し始めました。

その後、買い入れ枠は段階的に拡大され、コロナショック時の2020年には年間12兆円という過去最大の買い入れ枠が設定されました(実際の買い入れ額は約7.1兆円)。結果として、約14年間で簿価37兆円(時価では約83兆円)ものETFを保有する、世界でも類を見ない状況になっていたのです。

ちなみに、この時価83兆円という規模は、東証プライム市場の時価総額の約7%に相当します。日銀は間接的に日本を代表する企業の大株主になっていたわけです。

売却の概要

今回発表された売却方針のポイントは以下の通りです。

【ETF】

  • 保有額:簿価 約37兆円 / 時価 約83兆円(2025年9月末時点)
  • 売却ペース:年間 約3,300億円(簿価ベース)
  • 完了までの期間:単純計算で100年以上

【J-REIT】

  • 保有額:簿価 約6,500億円 / 時価 約8,000億円
  • 売却ペース:年間 約50億円
  • 完了までの期間:こちらも100年以上

植田総裁は記者会見で「100年後、我々はいないわけですけれども、100年以上かけて売っていくというつもりでおります」と発言。かなり長期的なスパンで、市場への影響を最小限に抑える方針です。

売却方針の詳細は日本銀行の公式発表(PDF)で確認できます。

市場への影響は?

ここが個人投資家として一番気になるところだと思います。

結論から言えば、短期的な株価への影響は極めて限定的と考えられます。

理由はシンプルで、売却ペースが非常にゆっくりだからです。年間3,300億円(簿価)を時価換算すると約6,200億円程度。一方、東証プライム市場の1日の売買代金は5〜6兆円程度あります。つまり、日銀の年間売却額は、市場の「1日の取引」よりも少ないのです。

1日あたりに換算すると約25億円程度(市場売買代金の0.05%程度)の売りになりますが、この規模では株価を大きく動かす力にはなりません。「日銀が売り始めたから暴落する」といった心配は、現時点では過度に警戒する必要はないでしょう。

中長期で注意しておきたいポイント

ただし、いくつか長期投資家として頭に入れておきたいポイントがあります。

1. 日経平均連動型の比率に注目

日銀が保有するETFの約3割は日経平均連動型と推計されています。日経平均は一部の値がさ株(ファーストリテイリングや東京エレクトロンなど)の影響を受けやすい指数です。

仮に日銀が日経平均連動型ETFを売却する際、これらの銘柄に対して継続的な売り圧力がかかる可能性があります。半導体関連株などを個別で保有している方は、この点を意識しておくとよいかもしれません。

2. 売却ペースは「見直しあり」の余地

日銀が公表した資料には「売却ペースを見直すことがありうる」との文言があります。これは「緩める」方向だけでなく、市場環境が良ければ「加速する」可能性も含んでいると読めます。

「100年計画」はあくまで現時点でのアナウンスであり、将来的に株式市場が堅調に推移すれば、売却が前倒しになる可能性もゼロではありません。

3. 日銀という「買い手」がいなくなる意味

これまで株式市場が急落した局面では、日銀のETF買いが下支えになっていました。いわゆる「日銀プット」と呼ばれていたものです。

今後は日銀が「買い手」から「売り手」に回ります。次に市場が大きく調整する場面があったとき、日銀による買い支えは期待できません。この心理的な支えがなくなることは、中長期的に市場のボラティリティに影響を与える可能性があります。

インデックス投資家としてやるべきこと

では、インデックス投資を続けている私たち個人投資家は、具体的に何をすべきでしょうか。

積立は淡々と継続でOK

正直なところ、やることは変わりません

今回のETF売却は、長期投資の前提を覆すような出来事ではありません。年間数千億円の売却が、長期で積み立てている個人投資家のリターンに大きな影響を与えることは考えにくいです。

むしろ、こうしたニュースに過剰反応して積立をやめたり、タイミングを計ろうとする方がリスクになります。淡々と積立を継続するのが、やはり基本戦略です。

TOPIXとオルカン、どちらを持つべき?

日本株インデックスを積み立てている方の中には、「TOPIXの方が影響を受けにくいのでは?」と考える方もいるかもしれません。

確かに、日銀は2021年以降の新規買い入れをすべてTOPIX連動型に限定していたこともあり、日経平均連動型より構造的には健全です。ただ、どちらを選ぶかで長期リターンに大きな差が出るとは考えにくいです。

オルカン(全世界株式)を中心に積み立てている方は、日本株の比率は全体の約5%程度なので、今回のニュースによる影響は軽微です。引き続き、分散されたポートフォリオで長期投資を続ければ問題ないでしょう。

利上げ局面での対応については「利上げ局面でインデックス投資家がやるべきこと・やらなくていいこと」も参考にしてください。

まとめ

最後に、今回のポイントをまとめます。

  • 日銀は2026年1月19日からETF・J-REITの売却を開始
  • 売却ペースは年間3,300億円(簿価)で、完了まで100年以上
  • 短期的な市場への影響は限定的と考えられる
  • 中長期では「日銀プット」消滅や、売却ペース加速の可能性に注意
  • インデックス投資家は淡々と積立継続が基本戦略

「異次元緩和の出口」という意味では歴史的な出来事ですが、長期投資家として焦って動く必要はありません。こうした大きなニュースも、振り返れば長い投資人生の一コマに過ぎないはずです。

引き続き、冷静にコツコツと資産形成を続けていきましょう。

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